リチャード三世ーある王の身体ー
原作:ウィリアム・シェイクスピア / 構成・演出:あごうさとし
出演:倉田翠、白鳥達也、辻本佳、西村貴治、松本杏菜 / 声(無人劇のみ):御厨亮
ドラマトゥルク:仲正昌樹(法哲学者・金沢大学教授)/ 美術・照明:ヤン・ベッカー / 音楽:木下伸司 / 音響演出システム:真下武久
[有人劇] 2017年7月12日(水)〜17日(月) / [無人劇] 7月16日(日)、17日(月)
会場:KYOTO ONISHI SOU 3F
前作「Pure Nation」では、社会的に構築された「身体(性)」を解体し、まだ自分の身体像や固有の欲望を獲得していない状態、母胎へと回帰することをモチーフとしていたとすれば、本作では、他者たちから絶えず見られ、心の中を覗き込まれることによって、極度まで硬直した身体、王の身体が問題になります。
解放されることなく絶えず見られることは、人間の身体にどういう変化をもたらすか。
他者のまなざし、希望、絶望を一身に引き受ける王の身体とは何か?異形の王を描いた「リチャード三世」という世界に混沌と浄化をもたらす歴史劇を背景に、私たちの身体と言語を通じて現代を反射できればと考えます。
また、舞台芸術作品としてのみならず、作られた舞台を無人劇化して上演をいたします。
[有人劇]
ランカスター家の恨みを、ヨーク家のリチャード三世が引き受けて、その反動として、リッチモンドの身体が浮かび上がる」
王の体が、市民の希望と絶望の集積体として考えた場合、その身体の作り方は、多数の人間の身体の集積として存在します。恨み、嫉妬などを語る人間の体をリサーチして、配役に応じた身体を造形し、シーンを作ります。
[無人劇]
「純粋言語音声で再現するリチャード三世」
純粋言語とは、バベルの塔以前の言語のことで、想いが全て伝わる言葉、神と通じる言葉。バベルの塔を中心に言語が広がっていった神話。これを日本の音声大系に置き換えた場合どの地域のイントネーションからも等距離にある音声(イントネーション)を解析して、体系化する試み。そこで生まれたイントネーションで、リチャード三世を再現します。
■スタッフ
舞台監督:浜村修司 / 衣装・美術制作助手:吾郷泰英 / 演出助手:たかやまみお / 宣伝美術写真:井上嘉和 / 制作:長澤慶太・加藤奈紬
主催:あごうさとし事務所 / 協力:アトリエ劇研 / 助成:芸術文化振興基金助成事業、京都府文化力チャレンジ補助事業